脳科学塾を終えて

脳科学全般

こんにちは、lepalepaです。

脳科学関連の研究室にいる方は聞いたことがあるかもしれない「脳科学塾」。

この記事では脳科学塾について紹介&修了後の感想を書いていきます。

※筆者は2020-2021にプログラムを受講しました。

脳科学塾とは

脳科学塾は理化学研究所の脳神経科学研究センター(理研CBS)が実施するプログラムです。

脳科学塾公式サイト( https://cbs.riken.jp/jp/TP/ )

神経科学の習得を志す大学院生を対象にしており、「専門研究領域に関する深い知見に加えて、脳科学に関わらず幅広い知識や技術に対応できる系統的トレーニングを実施する」ことが目的です。

このプログラムは10か月間に渡り、1週間に1回3時間の講義の他、2回のテスト(中間・期末)や1つの論文を読んで発表するグループプレゼンテーションを含みます。

1回の講義はそれぞれテーマが決められており、それぞれのテーマを専門とする研究者の方に直々に講義して頂けます。

脳科学塾のスケジュール。各回のテーマ・講師も事前に知ることができる。

 2019-2020までは理研CBSで現地開催でしたが、2020-2021はコロナ禍の影響でオンライン開催でした。2021-2022もオンライン開催のようです。

脳科学塾の良かったところ

まず初めに、受講してよかったところについて書いていきます。

専門が違ってもわかりやすい講義構成

受講生の専門分野は分野は生物系、実験系、文系出身の人まで非常に様々です。このため、すべての講義でその分野では基本となることを説明してから内容に入ってもらえます。そしてそこからどんどん内容を発展させ、最新知見へ話が進んでいきます。

私は計算機を使ったシミュレーションが専門なので、生物系の話については基礎知識がほとんどないのでこの構成でとても助かりました。

数学的なモデルを作っている先生は、なるべく数学が専門でない人が拒否反応が出ないように、と数式をなるべく使わず説明をするのに苦労されていました。もっと学びたい人には関連論文も紹介してもらえるため、興味があったところを更に調べられます。

脳科学研究の全体像がわかる

また、脳科学塾を修了することで脳科学全体について「大まかな」理解が得られたのはとても良い点でした。

講義で脳の色々な場所について話を聞き、様々な研究に触れることで関連技術についても知識を得られます。自分の専門から外れると全くわからないという状態を脱することができます。

更に、これによって自分の知識がなんとなく体系化され、以前より新しい知識を入れやすくなったように感じます。

普通話せない人と話せる

オンライン開催にも関わらず、研究者の方や他の受講者の方と話すことができたのもとても嬉しい点でした。従来このプログラムは理研CBSがある和光市でのオフライン開催ですが、今回はコロナ禍によりオンライン開催でした。

このため受講者間で教え合ったり、先生に気楽に質問したりすることができないことが課題でした。そこで、授業の理解を助け受講者間のネットワーキングを進めるため、チューターセッションという試みが行われました。

Zoomでの授業が終わった後、ブレイクアウトルームで数人ずつの部屋を作り、チューターとして来てくださった理研CBSの方と会話することができました。そこでは質問を受けてくださったり、ちょっとした雑談ができます。研究者の生活やキャリアプラン・問題などの生の声を聞ける上に他の受講者とも仲良くなれる、とても良い機会でした。

モチベーションアップ

自分の専門の講義では知識を深められ、専門外の講義では好奇心が掻き立てられ、研究や勉強へのモチベーションが上がりました。改めて「知ることは楽しい」ということを再認識できました。

また、印象的だったのはグループプレゼンテーションです。脳科学塾の受講者は2~3人のグループに分かれ、一つの論文を選んで内容を発表する必要がありました。発表は英語、時間は15分であり、内容は論文に書かれていることだけでなく「長所・短所」「研究がこの分野に与えた影響や位置づけ」などを含む必要があります。内容をきちんと読むだけでなく関連分野のサーベイも必要でした。これは作業量的に非常に重たいのですがとても勉強になりました。 

グループの私以外の2人の知識の広さと奥深さ、思考力の高さは非常にモチベーションになりました。また、1つの論文について教え合いつつあれこれ議論するのも初めてだったため、とても新鮮な楽しい経験でした。

受講する際の注意点

良いことばかり書き連ねていましたが、やはり辛い所もありました。

授業や研究・就活などとの両立

脳科学塾はかなり時間を取られます。ほぼ毎週3時間の講義+予習復習+グループプレゼンテーション1回+テスト2回はボリューム満点です。

私は人より心身が弱いので、M1秋は自分の研究+大学の講義+脳科学塾+最低限のアルバイトでキャパオーバーしていました。もちろんボリュームがある分良いことは多いのですが、やはり体力的な厳しさがありました。

M1秋~M2春は就活の時期でもありますし、自分のキャパシティと相談して計画を立てましょう。この際、研究室活動や所属研究室の教授の理解を得る必要があります。私の研究室の教授は脳科学塾関連の活動に非常に理解があったため、何とか(ギリギリ)乗り切ることができました。心から感謝しています。

英語スキル

受講前または受講中に英会話を含む英語スキルを磨くことを強くお勧めします。テスト2回+グループプレゼンテーションと3回英語で発表と質疑をする必要があるためです。これ自体はとても有意義な経験だったのですが、これらは英会話慣れが必要だと感じました。TOEICの点数とスピーキング能力は全く別物です。

終わりに

総じて脳科学塾での経験はとても有意義なもので、受講してよかったと感じています。得られた知識や経験はもちろん、人間関係も広がりました。一緒にテスト勉強をした人達とは修了した今でもチャットで雑談しますし、専門や居住地が全く違うので話を聞いていてとても面白いです。2021年開始の脳科学塾の募集は終わってしまいましたが、興味のある人はぜひ勇気を出して受講してみてください。

読んでくださりありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました